平成29年度我孫子市一般会計にかかる最終日の総括審査において、財政構造の弾力性を判断する比率である「経常収支比率」を取り上げました。
この数値は、毎年度経常的に収入される一般財源のうち、人件費・扶助費・公債費のように毎年度経常的に支出される経費に充当されたものの占める割合を示すもので、100パーセントに近いほど財政の弾力性はなくなると言われています。
平成22年度:90.5%
平成23年度:91.2%
平成24年度:92.5%
平成25年度:92.9%
平成26年度:94.7%
平成27年度:94.3%
平成28年度は96.4%
と年々悪化しており、財政構造の弾力性が低くなっていること・財政構造が硬直化していることが顕著に現れています。昨年、千葉県に対して「経常収支比率・将来負担改善計画」の提出を求められたところでもあります。
今年度の経常収支比率は95.9%で、昨年から0.5%の改善を見たものの、依然として高い数値となっています。
今年度の主な改善要因としては、算定する際の分母に参入する
〇株式等譲渡所得割交付金が対前年度比+114.7%、約7,400万円の増収
〇地方消費税交付金が対前年度比+4.3%、約8,000万円の増収
〇そして、市の債務となる臨時財政対策債が対前年比+10.3%、約1億8千万円の増収
となっており、これらはすべて依存財源であり、自主的努力による増収分ではありません。
分子に算定される毎年固定的に支出する経常的経費に当たる人件費・扶助費・公債費・物件費等について、聖域なき不断の見直しや改善を図り、実行に写して行かない限り、財政当局が当面の目標としている92%は達成し得ません。
構造的な要因もありますので、短期的に改善できるものではありませんが、改善に向けた改善の方向性や視点・意見としては、
〇人件費については、定員管理適正化計画による職員数の削減や給与水準を下げる等、取り組んでいただきましたが、給与水準については、少なくともラスパイレス指数100まで下げる努力が必要だと考えます。
〇扶助費については、今後ますます少子・高齢化が進展する中、削減が難しいと考えますが、中身の精査・厳格なチェック・不断の見直しは必要です。
〇増加傾向にある物件費についても、さらなる中身の精査・検証、不断の見直しが必要ですが、担当課との十分な協議の上で実効性の伴う改善計画を作成されることを強く望みます。
〇このような中で、経常収支比率を改善するための当面の課題は、公債費の増加を抑えるために市債発行を如何に抑制するかにかかっていると考えます。
平成29年度は、新木駅舎の整備などの大きな事業が終わり、起債発行総額を公債費以下にするという財政規律を守れましたが、今後は大型の事業案件である「新規焼却施設・新たなクリーンセンターの建設事業」等により、当分の間、これまでの財政規律を守ることは難しいと考えます。
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なくてはならないインフラ整備に当たるものなど、市債の発行により世代間の負担の均衡を図って行くことは否定するものではありません。
しかし、たとえ、「なくてはならない事業」を実施するためであっても、現時点では直接声をあげることが出来ない将来世代に対するツケとなる借金を、出来うる限り少なくする努力や創意工夫は必要不可欠であり、今を生きる我々の責務です。
そのため、新たな財政規律の策定、新たな財政シミュレーションの作成ならびに市民とその共有認識を継続的に図っていただくことを、決算審査の初日、2日目最終日と重ねて要望した次第です。