その象徴としては、市民の意見も割れていた「市長の在任期数」であったり、「議員の定数決定」ですが、これは飽くまでも市長の強い意向によって盛り込まれた条項です。この条項によって、本来、もっと集中的に審議すべき条項(特に「条例を貫く理念の部分」)が抜け落ちてしまった感が否めません。
そこで、原点に立ち返り、「何のための条例なのか?」について考えたいと思います。
■豊島区における整理。
以下は、豊島区における条例制定の必要性・目的についての考え方の一部を引用したものです(「豊島区自治の推進に関する基本条例」)。
◎地方分権が進み「自己決定・自己責任の原則」に基づく(非常に厳しい)自治体運営を確立するためには、団体自治の制度強化だけでなく、各地域における住民の主体的な取り組みを土台とする住民自治の充実を図っていくことが必要だといわれています。
しかしながら、現在の地方自治法では、団体自治に関する住民の権利を保障する制度が中心になっており、住民自治の視点が不十分と言えます。そこで、住民自治の充実を図っていくために、現行制度を補完する新たな仕組みや制度を構築することが求められています。
自治基本条例(「豊島区自治の推進に関する基本条例」)は、「住民自治を起点とする協働のまちづくり」を基本理念として位置づけ、区議会・区長に区政を信託するだけではなく、【区民自らがまちづくりの主体として活動していくための基本原則を定め、住民自治の充実を図ることを目的とするもの】です。◎(引用終わり)
■貫く基本理念は何か?
一昨日(11/9)自治基本条例審査特別委員会が開催され(継続審査の2回目)、課題の残っている部分について委員から質疑が行われました。
主だった変更点は、@【市民の定義】の条項が削除(議会意見は「整理が必要」でした)A【市長の在任期数】の条項が削除(意見の割れている条項)の2点です。
原案からみれば、大分角が取れ、丸くなった感がありますが、さはさりながら、肝心要の「条例を貫く理念」があるのだろうかと感じる部分があります。
これはこの条例の中に、「基本理念」がないことも影響していると思います。また、それが故に、肝心要の部分についての議論が策定過程においても、審議過程においても重点的に議論されてこなかった事が起因していると思います。
■共通理解はあるか?
「一体全体、何のためにこの条例を制定するのか?」について、残念ながら共通理解がないまま今に至っているような気がします。
このことは、今回の自治基本条例の策定に携わっている「市長、策定委員会の委員、そして審議を行っている議会(議員)」全てに責任が有ると思いますが、大切な論点である、「市民(住民)を起点にこの条例を議論する」という点が抜け落ちているように思います。
これは私自身も強く反省している部分です。
■議会の判断は?
12月議会において、正式に訂正案が上程され、おそらく12/25(月)に集中的に審議される事になると思いますが、市長(以下執行部)が今までの審議を踏まえてどのような調整をして上程するのか?
そして、それに対して、法律の定めるところによって、直接選挙で選出された議員で構成される議会がどのような審議を行い判断を下すのか。
今後の我孫子市政において大きなポイントになろうかと思います。