2010年03月14日

市民に負担を求める自治体と、市民の負担を減らす自治体。

金曜日、会派を代表して所属している教育福祉常任委員会の審査に臨みました。全ての審査が終了したのは夜の7時半。審査対象に成った議案が過去に類を見ないくらいの数だったこともありますが、久しぶりの長丁場の委員会となりました。

議案審査のメインはご案内していたとおり、「受益者負担の見直し」に関する関連条例でした。端的言うと、「公共施設料金の値上げ」に関する条例の設置または一部改正でした。

集中的に質疑を行ったのは結果的に私だけとなりましたが、審査を進めれば進めていくほど多くの疑問点や問題点が明らかになりました。

我孫子市は「公共施設を利用している方と利用していない方との間での負担の公平性、公正性を確保すること。また、厳しい財政運営の中、受益者からの使用料などは貴重な自主財源であること」という二つの視点から見直しを図ってきました。

利用している人が居て、利用していない人が居る。

利用している人はもっと負担して当然ではないか。

民間の施設利用と比べれば格段に安いではないか。

料金自体、永らく見直しされてきていないではないか。



一見、見直しは仕方ない。

と思ってしまいます。

しかし、果たしてそうなのでしょうか。


そんな審査をしている最中、まったく逆の発想で税を議論している自治体があります。

山田宏氏が区長を勤める杉並区です。

杉並「減税基金条例」可決
区民税の一部2020年度から10%減に備え


 杉並区議会は12日、「区減税基金条例案」を賛成多数で可決した。年間予算の一部を基金に積み立てて国債などで運用するなどし、2020年度から特別区民税の一部を10%減税する。将来の減税に備えて基金を設立するケースは全国的に珍しい。

 積立額は一般会計当初予算の1割に当たる約150億円を想定。年1・5%以上の運用を目指す。ただし、行財政改革で減らしてきた区債残高が3月末でまだ179億円の見込みであるため、10年度の当初積立額は10億円に抑えた。
減税基金条例案を可決した杉並区議会

 山田宏区長は07年の区長選で「減税自治体構想の検討開始」を掲げ、学識経験者による研究会を設置。研究会は昨年1月、「計算上可能」とする報告書をまとめ、区は具体的な検討を進めてきた。しかし、区議会には「保育や介護のサービスが低下しかねない」「減税するなら今すぐにすべきだ」などの批判も根強く、本会議では賛成30人に対し、15人が反対した。山田区長は本会議後、「お金があるからと言って全部使い切ったら、次の世代は疲弊してしまう。今後は自治体間競争の時代。高額納税者も含めて杉並区民が増え、税収も増える」と話した。
(2010年3月13日 読売新聞)


まったくもって、皮肉なものだと思います。

片や増税、片や減税。

杉並区は、山田区長が就任してからの11年、行財政改革、教育改革、そして、様々な斬新な政策を行なってきた自治体です。

誰がそのまちのトップになるかで、本当にまちの姿は変わります。

しかし、今日のサンデープロジェクトで前横浜市長の中田宏さん、名古屋市長の河村たかしさんが異口同音に言っているように、「決めるのは議会」なのです。


何度もこのブログで言っている事ですが

首長が変われば、まちは変わります。
でも、首長だけでは変わりません。

議会が変われば、まちは変わります。

しかし、その議会を構成している議員を選んでいるのは他ならない市民の皆さんです。議会で議論され、このまちで起きてくることは全て市民の皆さんに跳ね返ってくる問題です。


残念ながら、委員会のインターネット中継は議論の遡上に上がった所で、まだ実現できていませんが、明日からの一週間、委員会審査および予算審査(全て午後一時から:予定)を可能な限り直接ご覧頂きたく、ご案内いたします。

最終日と成る休み明けの23日(火)の本会議(委員長報告・討論・採決)は近年まれに見る「乱打戦」になるかもしれません。是非、ご覧頂きたいと思います。



posted by 久野晋作 at 22:17| 千葉 ☀| 議会報告(一般質問他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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