今回の給付金をめぐっては、「来る総選挙を意識した、形を変えた買収行為ではないか?」とか「一過性のバラマキに終わるのではないか」という指摘もなされていますが、所得制限についての判断を「自治体でやれ」というのも無茶苦茶な話です。
「補助金」で自治体を縛るだけ縛り付けておきながら、このようなメンドクサイ部分については「よきに計らえ」と、政府にとって都合の良い裁量権を与えられても、自治体にとってはアリガタ迷惑以上の何物でも有りません

判断基準の設定も難しいですし、実際の窓口での事務作業も非常に煩雑なモノになり大変な展開になることが予想されます。財政難により職員数を減らし、ただでさえ忙しい所に、このような訳の判らない事務処理が重なってくるのは本当に大きな問題です。
定額給付「所得制限で大混乱」秋田市長、見直し求める
全国市長会長の佐竹敬久秋田市長は10日、秋田市役所で記者会見し、政府・与党が追加経済対策に盛り込んだ総額2兆円の定額給付金について、「市町村が事務を担うことになれば、全国で大変な混乱が起きる」として、抜本的な見直しを求めた。
佐竹市長は、支給対象から高額所得者を除く所得制限に関して「辞退を促したり、見なしの所得制限で対応する案もあるようだが、あいまいな形では市町村は耐えられない。所得制限なしが望ましい」と指摘した。
市町村窓口で支給されるケースを想定し、「一時期に大勢が手続きに訪れる。すべての業務を放り出しても職員は足りず、政令市ならもっと大変だ。混乱は確実で、国が一切の責任を負うことを明確にしない限り、市町村は乗れない」とくぎを刺した。
佐竹市長は「定額減税に加え、低所得者対策を行うのが本来のやり方」と政府・与党案に異論を唱え、「国が国家公務員を総動員して支給するなら勝手だが、現場の実態を無視したやり方は困る。国会で軽々に決めるべきでない」と強調した。 河北新聞;2008年11月10日(月)15:00
後期高齢者医療制度導入の時もそうですが、生煮えの制度変更が行われると現場(自治体の窓口と成る担当課)がいかに混乱するかが全く判っていないのでしょう。余り報道されない部分ですが、システムの変更費用だけでも本当に多額の費用が毎年毎年計上されています。
2000年の地方分権一括推進法により、国と地方自治体は「対等の立場」なったはずですが、今回の給付金に関する内閣閣僚のコメントを聞いていると、自治体を未だに「オカミの下部組織」として認識しているということがよく判ります。
(財源的な問題は別として)総額2兆円といわれている予算があるのであれば、もっと効果的にかつ重点的に当てるべき政策的事業があるのではないか?と率直に感じますし、その額を地方自治体に「そのまま」交付する方がどれだけ良いか分かりません。
廃止を含め根本的に見直すべき「制度」だと思います。