インターネット議会中継は本当に便利です。生で聞くことが出来ない、メディアで報じられる事がない細部についても「そのまま」確認することが出来ます。
今日は地域を回らせていただいていた時に、「今日の参議院本会議の審議は非常に盛り上がっている」とのご意見を複数いただき、国会審議への注目の度合いの高さを感じました。
そこで、インターネット録画中継を確認しました。中でも、田中康夫議員の質問内容(質問の切り口、分析)は「非常に的を射ている質問である」又は「言い得て妙である」と感じ入りました。総理大臣をはじめとする政府の答弁も含め、是非「ご視聴ご一聴」下さい。
<参議院インターネット議会中継 ビデオライブラリ>
開会日 : 2008年10月3日 (金)
会議名 : 本会議
収録時間 : 約3時間46分
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下記は、私が参加している「がんばろう、日本!」国民協議会のメールマガジン最新号です。非常に判りやすく「今を解き明かして」います。併せてご一読下さい
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国民主権の土俵に上がれ
四股を踏み始めた一郎川、土俵を降りて塩をまいている太郎山
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熊 いよいよ、解散総選挙をにらんだ国会が始まった。まずは党首対決だが、麻生総理の所信表明演説は「野党になったときの代表質問の予行演習か」といわれるように、もっぱら民主党への「質問」に終始。対する民主党・小沢代表の代表質問は、「民主党政権の所信表明演説」という構えだ。
八 相撲に例えれば、こんなところか。呼び出しがかかって、太郎山、一郎川が土俵に上がった。一郎川のほうは土俵の上で四股を踏み始めたが、太郎山のほうはといえば、土俵から降りて外に向かって塩をまいている。おまけに土俵下の同部屋力士からは「この金融危機の時に政治空白を作るべきではない。この勝負、先延ばしだ!」という声があがっている。
熊 「政権のあり方は有権者が選挙で決める」ってのが、国民主権の土俵だ。総理は所信表明演説で、(1)国会での合意形成(2)補正予算案(3)消費者庁創設(4)日米同盟と国連の優劣(5)インド洋での給油活動継続―の5点について「民主党に問いたい」と言うが、まず「国民に問いたい」というべきだろう。
八 小泉さんは、「郵政民営化に賛成か、反対か。国民に問いたい」と解散に打って出た。この争点設定についての是非は別として、やはり「このマニフェストで国民に信を問いたい」ということでないと、国民主権の土俵に上ったとはいえない。解散の大義名分を自力で立てられないから、「対決姿勢」を演出したつもりでも、土俵の下で思い切り塩をまいているってことになる。
熊 補正予算に加えて、インド洋の給油、消費者庁、ついでに景気対策まで持ち出して「政局よりも政策優先」とか言い出している。総選挙が政局か?というレベルなのも情けないが、いずれも「当面の課題」だろう。当面の課題で政権選択って話は、まともな民主政治ではありえない。
八 民主党のほうは「政権交代を国民に問いたい」ってことではっきりしている。自民党のほうは、何を国民に問うのか。ここまで来たら、「政権のあり方は有権者が選挙で決める。だから国民が民主党政権を選択するなら、潔く下野して出直す」という決意をする以外にはない。それを恐れていたら、決断できないままズルズルいくことになる。解散権は総理の大権なのに、それを自ら発動できずに解散に追い込まれるというのは、最悪のシナリオだろう。
熊 本質的には安倍政権、福田政権の行き詰まりも、そこにある。「ねじれ」を口実にしているが、政党間競争のルールに基づいた参議院選挙の結果(「ねじれ」)を受け入れることができず、相変わらず「勝者」としてふるまい続けた結果だ。民主主義の大原則に逆らって、延命と先延ばしをすればするほど、政党としての基本がガタガタになっていく。
八 民主党のほうが補正予算審議で引き延ばしを図ったりすれば、それを口実に解散に踏み切ることもできるんだろうが…。民主党とすれば、政権担当能力を見せる意味でも、ここはチーム力でマニフェストの争点設定の舞台として使いこなせるか、だ。
熊 一郎川に続く同部屋力士の鳩ケ峰、参議院のヤッシーと、いまのところ連動している。(10月3日参議院本会議での田中康夫参院議員の代表質問は出色。参議院ホームページよりインターネットで録画を見ることができます)
来週の予算委員会からは、岡田海の指揮の下で関取が土俵に次々と上がってくる、って寸法だな。与党のほうは「逃げまくり」だから、なかなかかみあった論戦にはなりにくいだろうが、こうなってくると民主党の相手は「逃げまくり」の与党よりも、国民のなかの政権交代に対する漠然とした期待(日本の民主主義のためには政権交代が必要だが…)と不安 (自民党ではどうしようもない、とは思うが…)だ。これにどう答えるか。それが予算委員会の審議で問われる。
八 政権交代に対する漠然とした不安、というのは結局、政権交代を経験していないところからくるものだ。「自民党がいかにダメか」をどれだけ並べ立てても、この不安は解消されない。問題は政党としての安定感、まとまり、チーム力、その裏打ちとなる責任意識をどれだけ実感的に示せるか、だろう。その意味でも、マニフェストを検証可能な形で(工程表など)提示し始めたことは、一歩前進だ。これによって財源論争も「水かけ論」のレベルではなく、「何を変えようとしているか」「何を変えようとしていないのか」の違いが分かるようになる。
熊 逃げまくりってことで言えば、「世界の経済、金融がこれだけ大変なときに、選挙なんかやっていていいのか」って、自民党の大物議員とやらがのたまっているそうだが、当のアメリカだってこの状況のなかで、大統領選挙と下院議員選挙をやってんだぜ。「ご見識」と民主政治の大原則が、完全に乖離しちまっているのは、みっともない。まあホンネは、「惨敗」と出た世論調査の結果だろうがな。
八 総理のほうも「世論は選挙より景気対策だ」とか言い始めているらしいが、それを決めるのは、選挙で国民に選ばれた政権だろうが?選挙で選ばれた、ということなしに、いったいどんな政策ができるってのか。二代続けて政権を放り出したのは、その結末だろう。
熊 景気対策っていったって「今の不況は需給ギャップによるものではないから、財政出動による需要対策は不要だ」(与謝野大臣・経済財政政策担当)という見解と、「財政出動も躊躇するな」(中川・財務金融大臣)や、自ら「財政出動論者」という麻生総理と、いったいどちらの路線なのか。それすら決められないじゃないか。ひれでG8の蔵相会議に出て行ったら「日本は支離滅裂だ」ということになって、それだけで信用が落ちかねない。
せめて10日のワシントンでのG7財務相・中央銀行総裁会議では、不況の原因となっている一連の「官製不況」(行政による過度の規制)をなんとかする、くらい言わないと、国際的役割どころか「お荷物」になるぞ。
八 当然これからも、民主党のマニフェストに対して「財源の裏づけがない」「ばらまきだ」という批判が出るだろう。小沢さんの代表質問では、三段階に分けた工程表を示すなど、だいぶ整理されてきたようだが、やはりもう一歩「何をやめるか」を明確にすべきだろう。農業の戸別所得補償は、旧来の農業関係補助金(まさに、ばらまき)の廃止とセットだし、こども手当ては控除の廃止とセットだ。
熊 それをはっきり示したほうが、これまでの惰性のどこをどう断ち切るか、それによってどういう転換をしようとしているかが、より明確になる。同時に「言っていること」の整合性のみならず、実行する体制=チーム力がどこまで示せるかだ。マニフェストが検証可能になるということは、財源論争が「数合わせ」ではなく「何を変えようとしているか」「何を変えようとしていないのか」として、国民に見えやすくなるということだ。
八 そのために、財源論争を使いきることだ。与党は、民主党のマニフェストには20兆円の予算が必要だ、財源はどうするのか、と言い募っているが、それでは与党は強行採決までした「百年安心プラン」の基礎年金国庫負担増が来年から始まる(法律に書いてある)にもかかわらず、その財源については「検討」としか答えていない。また補正予算に盛り込まれた定額減税の財源についても「年末に向けて検討」と。それではいつ、何を国民に問うて選挙をやるというのか、という話になる。来年の任期切れまで引き延ばすのか?
熊 つまり既存の構造―官僚内閣制の惰性を前提にしていたら、何も決められない、ということだ。相次ぐ政権の行き詰まりは、このことだ。「政権のあり方は有権者が選挙で決める」という民主政治の土俵に、まず乗れと。それを恐れているなら去れ!ということだ。だから自民党では「下野する覚悟で」というところからしか、再生の糸口は生まれない。
八 第二に財源問題も、既存の構造―官僚内閣制の惰性を前提に議論しているのかどうか。改革派首長のところでは、予算書を一枚ずつめくって「これは何の事業なのか」「この委託は何なのか」ということを徹底してやって、税金の無駄遣いを徹底してなくしている。税金の無駄遣いとは、天下り・随意契約などの問題にとどまらず、政策目標の妥当性、手法の妥当性、優先順位の妥当性などを「政治の意思決定で」検証し(政策棚卸し)、お金の使い方、仕事の仕方を転換することだ。そういう財源の議論ができるのか。そのためには「何をやめるか」を有権者に明確に示して、選択を問わなければならない。
熊 来年からの基礎年金国庫負担増に必要な財源は約2兆円。与党はいまだにその財源を明示しようとしていない。野党のマニフェストの20兆円を「財源不足」と批判する前に、それをマニフェストにはっきり書くのがスジってもんだろう。
そして民主党は、特別会計も含めて財源論のテーブルに載せようとしている。これは画期的なことだ。特別会計こそ、官僚内閣制の伏魔殿だ。「殺されてもいいっ」と絶叫した郵政民営化でも、結局手がつけられなかった。これも財源論の俎上に載せるのか、すき焼きを食べている“離れ”(特別会計)には手をつけず、おかゆをすすっている“母屋”(一般会計)だけで財源を論じるのか。
八 呼び出しはもう終わった。行司は有権者だ。行司としては、補正予算審議で仕切りを繰り返して、11月16日あたりでは勝負をつけるように盛り上げていこうじゃないか。
「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp