6月議会が終わり、資料整理や市政リポートの編集等の作業に取り掛かっています。今日は閑話休題、現在読んでいる書籍の紹介をします。
改革派首長の中でも「急進派」と言われていた前佐賀市長の木下敏之さんの著書第二弾「なぜ、改革は必ず失敗するのか」〜自治体の「経営」を診断する〜が先月発刊されました。
夕張市の財政破綻という衝撃のニュースが駆け巡り、自治体運営に「経営」という観点が明確に入りました。つまり、自治体も企業と同様につぶれるということが全国民の意識の中に入ったのです。
改革派の首長が一様に取り組んだのは「情報公開や市民参加」でしたが、それらはもう当たり前になすべきこと(必行事項)であって、その上で、行政運営の最高責任者である市長に求められるもの(覚悟)は何か?その障害(障壁)となるものは一体何か?を「体験的自治体経営論」として包み隠さず報告されています。
(自称・他称含め)改革派首長の後を受けて、現在、行財政運営の舵取りを一手に握り、「どのようにして予算を組むか?何を諦めるのか?」という現実的な問題を抱え四苦八苦している全国の首長にとっても、首長が提示した予算を審査・議決し、執行を監視する重要な役割を担う議会にとっても、そして何より全ての結果を背負わされる市民にとっても大いに参考になると共に、考えさせられる点が多い著書です。
■追記■
木下さんは、二期目途中に行われた合併に伴う市長選(2005.10)で自民・社民・共産党が実質的に相乗りとなって支援した候補に敗れ、改革の道半ばで一線を退くことになりました。
急進派と呼ばれるだけに、6年半の任期中に行った改革のスピードは類を見ないものであり、その分「既得権益・旧態依然とした勢力」に切り込む形となったため、職員を含め「敵」を多く作ることになりました。
改革の裏側で徐々に形成されていく反対勢力との壮絶な戦い。
「改革と称するもの全てが正しい」というツモリはありません。
しかし、皆が満足するような改革では本来の目途は達成しえません。
「改革の先に何を見据えているのか?」というビジョンがどこまで共有されているのか?そして、改革を断行する強いリーダーシップと併せて、それを受ける市民の忍耐強さと理解が大きなポイントだと思います。
木下さんが去った後の佐賀市は一体どうなっているのか?
この点は大いに気になります。