昨日、「平成29年度我孫子市一般会計歳入歳出決算の認定」の議案に反対した旨をご報告いたしましたが、討論の模様につきましては昨日の午後3時過ぎあたりから、我孫子市議会インターネット中継(録画)にて視聴できるよう、議会事務局のみなさんが「速報版」としてアップロードしてくださいましたので、ご視聴いただければ幸いです。
平成30年第3回定例会 ー 09月27日 最終日(委員長報告→討論→採決)
我孫子市議会インターネット中継(録画)
*開始12分過ぎから「討論」に入ります。
kunoshin / 久野晋作
なお、討論の模様につきましては、我孫子市議会インターネット中継(録画)にて、本日午後から視聴できるように議会事務局のみなさんが対応してくださいました。
開始12分過ぎから討論に入ります。合わせてご視聴いただければ幸いです。… https://t.co/vtnK8ALBe6 at 09/28 22:29
本会議において行った反対討論の原稿は、以下のとおりです。
(直前まで筆入れをしているため、実際の討論内容と若干異なる部分もありますが、ご容赦ください)
Nextあびこの久野晋作です。
会派を代表し、議案第13号「平成29年度我孫子市一般会計歳入歳出決算の認定」に反対の立場で討論いたします。
はじめに、平成29年度決算審査にあたり、平成29年3月に行われた予算審査の場において、指摘した事項、要望した事項等について、各種事業の執行において、どのように反映されていたか、
○予算が正しく、効果的・効率的に執行されたか否か?
○そして、目途とする成果を導き出せたか否か?
○予算執行にあたって、新たな課題は生まれたか否か?
という視点から審査に臨みました。
大方の事業において、指摘事項・要望事項にしっかりと応えて下さったこと、大小問わず一定の成果を上げていることを確認することが出来ました。これらの点につきまして、改めて感謝申し上げる次第です。
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それでは、決算の認定に反対するに至った理由について申し述べます。
私どもの会派は、平成29年度一般会計予算案に対し、特に二つの事業について大きな問題意識をもち
反対する決断を下しました。
一点目は、「手賀沼親水広場管理運営委託料」について。
予算額は4,717万5千円、決算額は4,714万9千円です。
手賀沼親水広場管理運営事業は、現在の受託事業者が提案型公共サービス民営化制度を活用し、平成28年に提案を行い採択されたものです。
当該施設である「水の館」は、平成28年度に本市が県から移譲を受けた施設ですが、移譲の移行期であったことなどから、提案された内容において経費の面で比較衡量することが困難であったこと、かつ大きなコストメリットは感じられなかったこと、また、独自性とされたプラネタリウムの管理運営業務は全体の委託料からすると限られた部分に留まるものの、これらをもって事業者が選定されたことなどに対し問題意識を持ち、予算に反対する大きな理由の一つと考えました。
決算審査において、これらの事項について質疑を重ね、当局に改めて説明を求めましたが、当該事業にかかる予算執行につき「是」と判断し得るだけの明快な説明および資料提示をいただくことは出来ませんでした。
水の館を含む・すべての水環境保全啓発施設の管理運営業務委託については、施設の移行期でもあったことから、やはり、当初から予定していたプロポーザル方式により、複数の事業者から各種の提案を受けた上で、最も適切な想像力、技術力、経験などをもつ事業者を総合的に判断し、委託業者を選定すべきだったと考えるものです。
二点目の事業は、「工業振興事務運営費(うち産業拠点検討調査業務委託料)」。予算額は600万円、決算額は540万円です。
星野市長の就任以来、工業系土地利用の適地検討および企業誘致、企業立地、住工混在の解消等に係る調査研究・委託事業が3つ行われてきました。
@ 初めは、平成20年度の工業系土地利用調査研究業務委託料:457万8千円
A 次に、平成24年度の「企業立地方針」策定の基礎資料として行った企業意向調査委託料:159万6千円
B 三番目は、平成25年度の工場集団化事業基本調査業務委託料:690万9千円です。
以上3つの調査に合計1,308万3,000円の経費が投じられましたが、結果として、これらの調査結果に基づいて具体的に事業化されたもの、言い換えれば、工業系土地利用の適地検討および企業誘致、企業立地、住工混在の解消に繋がった具体的な成果はありません。
その上で提案されたのが、平成29年度予算案で提案された
「産業拠点検討調査」にかかる業務委託料:600万円でした。
決算額は540万円でしたので、関連する4つの調査費用を合計すると1,848万3千円になりますが、この金額は人件費を除いた額になりますので、相当の経費と労力が費やされてきたことが分かります。
私たちは、平成20年度から3度にわたり実施された調査研究業務に「屋上屋を重ねるようなものである」と指摘しましたが、予算を反対するに至ったもう一つの大きな理由の一つとしては予算編成過程における瑕疵がありました。
本市は、「限られた財源の中で市民の意見を踏まえて効果的なまちづくりを行うこと」を目的として、平成18年度予算にかかる編成から政策的経費に位置づけられる新規事業の採択に当たっては、その予算編成過程である予算要求および4回の査定状況をホームページ等で公開し、あわせてパブリックコメントも実施してきました。
予算編成過程を公開することは非常に画期的な取り組みであり、前市長の福嶋浩彦市長時代から導入され、現在も引き続き取り組んでくださっています。他の自治体で当然に行われているものではなく、我々は高く評価するものであります。
平成29年度予算に関して、当初、担当課である企業立地推進課が新規事業として事業採択を図っていたのは、事業名【住工混在の解消】であり、その概要は「住環境の改善を図るため、住工混在の解消へ向けて工業系の用地を整備し、企業の立地・集団化を推進する」ものでした。
平成29年1月25日の示達段階においても、当初の事業内容である【住工混在の解消】で事業採択されました。
しかしながら、実際に予算化された事業は「新たな企業が進出しやすい環境整備を推進するため」の「産業拠点検討調査業務委託」であり、「住工混在の解消」ではありませんでした。
事業の変更に伴う説明は、議会および市民に対して一切なかったのです。
「単に事業名が変わっただけではないか」と言う方もいましたし、今でもそのように考えている方もいらっしゃるようですが、それは違います。事業内容自体が変更されていたのです。
このことは、決して看過できることでは有りません。
私たちは、瑕疵のある過程を得て上程された事業を認めるわけには行かないと考え、予算案に反対する決断に至ったわけです。
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さて、平成29年度に執行された「産業拠点検討調査」では、市内4箇所を調査対象地区として「産業系土地利用を目的とした基盤整備を行う際の条件整理や土地利用計画案の作成、概算事業費の算出」等が行われました。
しかし、どの場所においても課題が多く、現時点において存在していなければ、計画すらされてもいない新規のアクセス道路が必要十分条件であること、民間資本を活用すると言っても必要となる事業費用は決して小さくないこと、さらに当該調査の中で行われた企業へのヒアリング結果からも、その実現可能性が極めて低いことなどが明らかになりました。
合わせて各種委員会や本会議等における質疑、そして今回の決算審査を通じて、改めて明らかになった事として、
本市において「一定規模および相応の土地」を必要とする「新たな企業が進出しやすい土地基盤整備を含めた環境整備」を行う事は、長期的視点で見ても非常に困難であり、平成29年度予算編成の原点であった【住工混在の解消】が優先して取り組むべき課題であると言う結論でした。
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この10年来、市がこだわって来た工業系の土地利用に適した「まとまった土地」が現実にない状況において、既存企業の誘致を狙うのは、大海原に小さな船を出し、専用の釣竿やルアー等の必要十分な整備もないまま「マグロの一本釣り」を狙うようなものです。
私たちの会派では、現時点において実現可能性が極めて低いことに労力を費やし、限られた財源を投じるのではなく、政策の方向性を切り替えるべきだと考えます。
先に述べたとおり、4度にわたる類似の調査に充てられた予算は、人件費を除いて1,848万3千円でしたが、同じ費用を投じていくのであれば、担当課の所管である「起業・創業」に力点を移し、老いも若きも、本市で起業・創業しようとする芽を「見出し、育て、力強く支援して行くこと」に焦点を当てて行くべきと私たちは考えます。
若い世代の定住人口の奪い合いと同様、企業の誘致合戦は、「奪い・奪われ」という、一方の利益が必ず他方の損失になる「ゼロサムゲーム」の世界であり、「win-win」の世界ではありません。その条件整備やインセンティブをつけるため、多くの費用を互いに投じて行く「叩き売り」や「消耗戦」の負の側面も少なくありません。
こうしたある種「展望のない戦局」に身を投じるのではなく、無から有を生み出す、または、潜在的な可能性を見出し、育て、応援すると言う「起業・創業」に力点を移す方が、本市の現状および都市的性格に見合った「無理がない適切な政策」であると共に、夢のある、ワクワクするような取り組みではないでしょうか。
「起業家創業家の物語も生まれるまち・あびこ」は、新たなまちの魅力になると私たちは考えます。
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最後に、ますます厳しさを増して行く財政事業の中、「最小の経費で最大の効果を生み出す」観点、そして、「公正な競争のもとでの契約を実現する」観点から、入札のあり方等について質疑・提案を重ねました。
短期的な視点・すぐに着手し得る、実質的な収支を改善することに寄与する取り組みだと考えますので、可及的速やかに「入札制度の抜本的な見直し」を行っていただくことを強く要望し、以上、討論を終わります。