今議会の予定提出議案は、補正予算にかかる議案を含めて14件、報告事項として専決処分が2件。
それらの概要について報告がありました。
以下、不本意ながら、表題の件につき仔細ご報告いたします。
9月議会に引き続き、「事務処理にかかる誤り」が発覚
さて、昨日の新聞各紙の千葉(京葉・県西)欄における我孫子市政にかかる報道をご覧になった方もいらっしゃるかと存じますが、表題のとおり「生活保護費と児童扶養手当に関する事務処理誤り」について報告がありました。
この件については、11月16日の時点で、総務課より議員各位にファックスにて報告があったところですが、議会全体に対する説明と、会派別懇談会の内容を持って報告することを決めておりましたので、事後の報告となりましたことご容赦いただければ幸いです。
今回の「事務処理誤り」は、以下の二点です。
1.生活保護費に関する事務処理誤り(=過払い)
…生活保護世帯(1世帯)の世帯員に係る児童養育加算について、その算定根拠となる対象児童につき、中学校を卒業した後も削除しなかったため、過支給を発生させてしまった。さらに、同世帯員に対する通学交通費認定の入力を誤り(高校通学交通費分として、6ヶ月の通学定期代の認定支給したが、その額を「毎月支給項目」として誤って入力…)、同様に過支給を発生させてしまった。
<児童養育加算>
・対象期間:平成26年4月〜平成28年8月
・過払金額:277,000円
<通学交通費>
・対象期間:平成27年12月〜平成28年10月
・過払金額:177,500円
過払合計金額:447,000円
▼この過支給については、収入認定などの通常の保護費の算定処理と同様と考え、生活保護法第63条により返還を求める方針を決定し、支給対象者と返還についての協議を継続して進めたが、平成 29 年 8 月に返還に応じられない旨の意思表示が支給対象者からあったため、9 月に顧問弁護士に相談。
▼その結果、東京地裁での同様(?)の事務処理誤りによる過支給に対する判例が示されたため、それを根拠として返還を求めないことを担当部長および市長が決定。
▼なお、今回の事案が発覚後、当該職員の他のケース及び課内の他の職員のケースについても同様の事務処理がないか調査したところ、事例はなかった。
生活保護費の事務処理誤りにかかる「概要、経緯及び原因、今後の対応と再発防止(PDF:151KB)」について(我孫子市website)
2.児童扶養手当に関する事務処理誤り
…児童扶養手当の支給額を決定する際に算定基準の解釈を誤り、本来支給対象となるべき3名の対象者の支給を停止してしまった。また、児童扶養手当と同様の審査基準で判定する「児童育成手当」及び「ひとり親家庭等医療費等助成」についても、同一の対象者について未支給を発生させてしまった。
…対象者3名には、平成29年10月中に謝罪及び事情説明を行うとともに、未支給分の手当等を平成29年10月末に追加支給した。
<対象者1>
・対象期間 :平成24年8月〜平成25年7月
・未支給額計:516,637円
<対象者2>
・対象期間 :平成25年8月〜平成27年7月
・未支給額計:995,475円
<対象者3>
・対象期間 :平成24年8月〜平成29年7月
・未支給額計:1,690,665円
未支給額合計:3,202,777円
児童扶養手当の事務処理誤りにかかる「概要、経緯及び原因、今後の対応と再発防止(PDF:150KB)」について(我孫子市website)
★上記、児童扶養手当の未支給分の追加支払いにつき、市が新たに負担することとなった額について。
児童扶養手当は支給額のうち3分の2を市が負担し、残りの3分の1を国が負担しています。今回の事務処理誤りにより、遡って手当を支給した結果(追加支払い)、2年を超えて遡って支給した2,300,940円のうち、その3分の1に当たる766,980円については、国庫負担金の請求対象とはならなかったため、市が負担することとなってしまいました。
この部分については、新聞報道では詳しく触れられていないところだと思いますが、全体説明会において初めて明らかにされた点であったことから、具体的な損失額について曖昧にしてはいけないと考え、市長以下執行部に質しました。
===============================
生活保護費の事務処理誤り(過払い)により :447,000円
児童扶養手当の事務処理誤り(追加支給)により:766,980円
合計1,214,480円
===============================
これは、本来、市が負担する必要はなかった金額です。
これだけの額があれば、財源不足により諦めざるを得なかった事業、または既存事業の中で質や量が増やせたものが必ずあります。
金額の多寡だけを問題にするつもりはありませんが、現実問題として、今回の事務処理誤りにより、このロスが発生してしまったわけです。
人間のやることである以上、ヒューマン・エラー(人為的ミス・誤り)は不可避であると理解するところです。しかしながら、9月議会前に発覚した「17件にものぼる、かつ長期の専決処分の報告漏れ」に続く、事務処理誤り」(参照:2017/8/17付けblog記事)だけに、
市民を代表し、議席を預からせていただいている立場に身を置くものとして「ハイそうでしたか。分かりました。仕方ないですね。以後、くれぐれも気をつけてください」、というような安易な態度で臨むわけには行かないと考えています。
★
今回の事案についても、悪意があって、行われたものではないことも理解しています。
生活保護費の過払いについて、最終的に返還請求をしないことを決定した判断についても、「受給者の方の生活の安定」を踏まえたものであることも理解するところです。
昨今、耳にする「業務上横領」「談合への関与」などの不祥事とは明確に線引きすべき案件ではあるものの、こうした「事務処理誤り」が、当たり前のように起こるような行政対応となれば話は別です。
11月16日に星野市長名で配信された議員向けのFAX通知において、
先の道路瑕疵による損害賠償額の決定に係る専決処分問題に続き、このような事務処理誤りをし、関係者の皆様にご迷惑をお掛けしたこと、また、市民の皆様と議員各位の氏に対する信頼を損ねましたことは、誠に申し訳なく深くお詫び申し上げます。
今後は全庁での事務処理誤りの再発防止に取り組むため、事務処理ミス防止の方針を定め、その徹底を図ってまいります。
なお、この状況を重く受けとめ、管理監督責任を明確にするため、私と副市長の平成30年1月分の給料月額10分の1を減額する条例案を12月議会に提出させていただきます。
と、記されていましたが、果たしてこの内容で管理監督責任を明確に出来得るのか?甚だ疑問に感じます。
金額の多寡を問うているのではありません。
政治家としての姿勢を問うているのです。
合わせて、全体説明会の場において、12月議会において上程を検討していると言った「市長以下、3役の常勤特別職の期末手当の改正」について、「当然上程すべきではない」と市長に質しました。
市政における唯一無二の長である市長の「一挙手一投足、一言一句」は、常に注目を集めるところです。
我孫子市議会は、市民から選挙で選ばれた議員により構成され、同じく市民から選挙で選ばれた我孫子市長とともに、市民の信託を受け我孫子市の代表機関を構成している。議会は議員による合議制の機関として、市長は独任制の機関として、それぞれの異なる特性を生かして、市民の意思を市政に的確に反映させるために健全な緊張関係を保ちながら、我孫子市としての最良の意思決定を導く共通の使命が課せられている。
(平成26年12月26日公布:「我孫子市議会基本条例」前文)
これから迎える12月議会から、ちょうど任期(4年間)の折り返しとなりますが、二元代表制の一翼である議会を構成する一員として、心新たに市政に臨んで参ります。